「髪がないとダメ!」。そんな呪いのようなメッセージを浴び続け、髪の毛を失うことに恐怖している人は多いのではないでしょうか。はげを否定する価値観を振り払おうと、円形脱毛症の女性やAGA(男性型脱毛症)の当事者らが髪のない頭をネタに、ユーモアあふれるミュージカルを演じました。発起人で、自らも円形脱毛症で髪がない小豆だるまさん(43)に、企画に込めた思いについて尋ねました。(朝日新聞記者・岩井建樹)
髪がないシンデレラ
ミュージカルは11月中旬、東京ビッグサイトで開かれた「デザインフェスタ」で披露されました。「ハゲ100人で踊るプロジェクト」(ハゲプロ)とのチーム名で、髪の毛を抜く「抜毛症」の女性や円形脱毛症の女性、抗がん剤治療で髪が抜けた元患者、AGAの男性ら20人以上が出演しました。テーマは、髪がない「シンデレラ」(作・演出 BOZE STYLE)。シンデレラは、はげているため、舞踏会に行くことができません。「髪がないといけない! 髪がないといけない! 髪がないといけない!」との歌詞を歌います。
シンデレラは、魔法使いからもらったウィッグをつけて、舞踏会に参加します。しかし、12時が過ぎると、魔法の反動で頭皮が痛くなり、シンデレラはウィッグを脱ぎ捨て、城を後にするストーリーです。派手な化粧や衣装、コミカルな動き、愉快なセリフ。観客からは笑いが起こりました。
「はげちゃってても、いいよ!」
プロジェクトの発起人で、漫画家の小豆さんがシンデレラを演じました。小豆さん自身も円形脱毛症のため、髪の毛がありません。
「シンデレラを演じた感想は『快感』の一言です。『はげを楽しむ=自分を楽しむ』ことを大切にして、メンバーたちと協力した結果だと思います」
シンデレラは、実ははげだった王子様と結ばれます。最後は出演者で「はげちゃっててもいいの?」「いいよ!!」と叫び、歌い踊ります。
「髪を失うことを『かわいそう』とみる風潮を変えたいとの思いから、「ハゲプロ」を企画しています。『はげちゃってもいいじゃない!』と言える社会が理想です」
「女性でも髪のない人たちがいることを知ってもらいたい、と考えています。とはいえ、『知って下さい』だけではなかなか人々には伝わりません。ユーモアや笑いを交えることで伝わることもあると思います。私たちのミュージカルを楽しんで、その上で知ってもらえたら」
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース